特集:枯法師物語 その5 七代目に秘められたこだわり

銘竿の系譜

枯法師物語 

七代目に秘められたこだわりの数々

 枯法師は誕生以来、一貫して中硬式本調子という軸を守りながら、今年発表の七代まで伝統を継承してきた。和竿のテイストを持つ段塗の外観も同様である。

 その路線自体はいささかもブレることなく突き進んできたが、それぞれの時代に於ける釣技の進化、製竿技術の発達が様々な革新を生み出してきた。

 2022年に登場する七代目枯法師は現時点でのへら竿における集大成といえ、美しい曲りが生み出す絶妙な釣り味の裏側にも数々のこだわりが秘められているのである。

曲りの美しさは、釣果に直結する

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↑どの場面をみても美しい弧。最新テクノロジーが「株理論」設計を支える。

 七代目枯法師が描く大きな弧は、見るだけで釣り人の心を酔わせるが、それは釣りという行為自体におけるパフォーマンスの卓越を証明するものである。平たく言えば、曲りが美しい竿は、実釣においても優れた能力を発揮するのである。魚を掛けた後だけではない。エサ打ちから誘い、アワセ、やりとりなど、へらぶな釣りの全ての行為において美しい曲りを見せる竿は動作も滑らかなのである。

 七代目枯法師の美しい曲りの根幹をなすのは、穂先から掛かる負荷量によって徐々に最大曲点がスムーズに移動し、釣り師の動作をロスなく竿に伝えるダイワのへら竿における最大の財産「株理論設計」であることは変わりないが、その「株理論」も年代と共に磨かれ、着実に進化を遂げている。

 今回バランスと精度で進化してきた「株理論」の根幹を成す技術V-ジョイントが七代目では大きく進化したのである。V-ジョイントとは、竿の継ぎ部分に互いに45度の角度でクロスするカーボン素材を巻くことで、継部の曲がりをスムーズにし、同時にパワーアップもはかれるという技術だが、その継部の曲がりとパワーアップの質がV-ジョイントαが採用されたことで飛躍的に向上したのである。

七代目に採用されたV-ジョイントαとは継部に新開発された高強度素材を使用することで、継部の素材量は少なくて済むようになる。特に今回細身肉厚化され、曲がりも大きく設定されたた七代目においてはその効果は大きく、その結果、細身肉厚になっても竿全体の強度を損なうことなく、極めて自然な継部の曲りを呈することができたのである。

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↑テストでは継ぎの感覚までチェック 

 ちなみに七代目枯法師はそのコミにもこだわり、「テーパー×テーパー合わせ」という構造が採用されている(7~16尺)。これは元竿側の内側と穂先側の外側が微妙にテーパー状となることでコミがきわめてスムースにしかもしっかり決まるというものである。これも美しい曲りに貢献していることはいうまでもない。

 このように、Vジョイントαが新採用され、パワーアップされた「株理論」が七代目枯法師の曲りの美しさ、芯のある強さをもたらしたのである。それが綺麗に曲がる細身肉厚のブランクスに秘められたパワーの源といえるのである。

 そして細身でありながら肉厚化されたブランクのネジレを削減するX45という技術も大きく美しい曲り、粘りのある強さに貢献している。

操作性を飛躍的に向上させた穂先

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↑スムーズな竿立ちと取り込み。この曲がりこそこだわりの穂先のなせる業。

 七代目枯法師は操作性の点でも大きな変革を遂げている。代表的なものは7尺から12尺までに採用されたメガトップというソリッド穂先の素材。通常カーボンソリッドとはカーボン繊維を樹脂でまとめて作られる。これまでのカーボンソリッドはカーボン繊維の偏りが見られることで、どうしても均一な調子を実現しにくかった。メガトップは均一に超分散されたカーボン繊維により、削り込んでもどの方角にも同じ曲りを見せる穂先を実現した。これは振り込みにおいて高い精度をもたらすだけでなく、誘いにおいても釣り人の意志を忠実に反映させ、さらには魚とのやり取りにおいて、特に取り込み時竿が立った時に竿先が首を振りにくいという利点を持っている。

そして複合的にこのソリッド穂先は七代目枯法師において、いい意味での持ち重り感を与え、革新のテーマであった重心バランスのコントロールにも大きく貢献してくれている。

枯法師を愛用するトーナメンターはエサ使いや風向きなどによってソリッドとチューブラー穂先を使い分ける。風の中で竿のしなりを利用したエサ打ちが必要なシチュエーションでは枯法師の細く繊細でなおかつ重さで竿をしならせてくれる穂先が抜群の操作性を発揮する。ゆっくりとしたタテ誘い、細かな引き誘いなどのワザを効かせる場面でも、釣り人の意志を最大に伝えてくれる。

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↑枯法師こだわりの先径0.8mm穂先

 13尺からは先径0.8mmという極めて細いチューブラー穂先が採用されている。これは七代目において操作性を損なうことなく、よりしなやかな調子へのこだわりの形である。ソリッド継ぎを採用しなかったのも、先径0.8mmという細いチューブラー穂先を作れるダイワの技術力と、継ぎを極力減らすことで綺麗な曲がりを実現したいという枯法師のこだわりが故の選択。

 いずれの穂先も、パーツとしての曲がりバランスと竿全体の曲がりバランスを整えるようテーパーや素材の調整をされている。

枯法師の掛かったへらぶなを暴れさせることなく竿先の延長線上で浮かせ、玉網に収める能力はこのようなパーツ一つ一つのこだわりの結晶と言えるのである。

そのすべてはひとえに気持ちいい釣り味のためにある。

2022年3月

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