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4.大物は磯際に潜む

かつてはメジナ(グレ・以下メジナと記す)釣りのポイントはサラシが第一候補と決まっていた。

磯にできたサラシでは、磯に付いていた「海藻やエビ、カニ、その他」のエサとなるものを運んできてくれる。メジナは経験的にそれを知っていて、確率高くエサを捕食できるサラシの中やその周辺にタムロするように潜んでいたものだ。

ところが、オキアミが釣りエサとして使われるようになり、時間をかけて彼らの生態そのものが少しずつ本来のものと違いを見せてきた。釣り人が撒くコマセの量は、自然界に存在し得る彼らのエサとしては膨大なものであり、しかもいろいろな場所で撒かれるので、潮に乗って自分たちの目の前まで運ばれてくる。なにもサラシの中で待つ必要も無く、自分たちの棲家近くで十分にエサが取れることに彼ら自身が気づき始めたのだ。

野生の生き物たちは、もともとズル賢いし、とかく楽にエサを捕食する方へ傾きやすいもの。例えばカラスだって、定期的に供給されるボクたち人間の生活生ゴミを自分たちのエサと気づき、楽に手に入れられるものとして固執し始めた。すると本来のカラスたちの生態とはかけ離れたものが生起し、社会問題を起こしている。このような生態の変化がメジナにも間違いなく当てはまるのだ(ろう?)。

1)大物は自分たちの棲家付近でエサをとる

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木っ葉メジナや小型のメジナは別としても、大型になればなるほど、よりズル賢いエサの捕食となる。つまり、危険を冒さず、自分たちの棲家付近でエサを取り、エサを食べたら直ぐに棲家に戻る。確実にエサを食べられ、自分の身はほとんど危険にさらされる事もない。それが継続されればされるほど、大型メジナはその生活様式に固執し始める。

となれば、大型メジナを狙うには、棲家を直撃する必要があるわけだ。もちろん、どこもかしこもと言うわけにはいかないだろうが、特に磯際には間違いなく大物は潜んでいる。

そんなときに潜んでいそうな場所を見極めをするに、海から上(海面上に突き出た)の磯の形状を参考にするといいだろう。磯がV字型に切れ込むような場所は、海の中にもその形状を引きずりこんでいる場合が多く、その脇や下側がえぐれていたり、割れ目となっている場合が多いもの。

そんな場所(地形)は、彼らの恰好の隠れ家である。

磯際には大型メジナが間違いなく潜んでいる。特に下側にえぐれのあるような場所ならベスト。海面から上の地形から目星をつけよう

2)磯際には2種類の流れが生じている

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大型メジナは、磯際に沿って棲家から泳ぎあがり、捕食したら反転して棲家に戻ろうとする。磯際をきっちりと攻められるようになっておきたい。

磯際には、2種類の異なる流れが発生している。

ひとつは、いわゆるサラシと同じように沖側に払いだす潮である。もうひとつは、弱い流れであるが、磯際に沿って下方向に流れる鉛直的(垂直方向)な潮流である。

ここでよく磯際狙いの間違いが起こり得るのだが、ただ仕掛けを磯際に入れるだけでは、仕掛け、特にウキが沖へ払い出す潮を受けてしまい、仕掛けは沖へと出てしまう。こうなると、大物の潜む磯際から付けエサが離れてしまい、大物のかかる確率は大幅に落ちてしまうし、エサ盗りに狙われてしまうものだ。

こんなときは、波の上下の動きを見ながら、磯際で波が頂点に達したときに磯際に付けエサを入れ、波が下に下がると同時に磯際に沿った鉛直方向の流れが発生し、その流れに付けエサを吸い込ませるようにする。そのまま静かにサオ先を下げて、ハリスが縦になってその磯際を這うように入れる。そのままウキを海面に落し、ウキが磯際から離れないようにする。コマセも同じように波の上下を見計らい、磯際に吸い込まれるようなタイミングでコマセを入れる。こうすることで、磯際に沿って沈むコマセを喰いに、大型メジナは棲家から磯際をうかがうのだ。

3)大型メジナをイライラさせて喰わせよう

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大物が磯際でヒットしたら、巣穴に潜り込まれないようにサオのねばりで凌ぐ。そのためには、ハリスやミチイトもそれなりのものを使う必要がある。

そのときにもうひとつ大切なのが、コマセだろう。

最近多くの人たちはコマセを細かく砕いてしまう。そうすることでコマセと配合エサとの馴染みがよくなったり、飛びが良くなって遠投が利くようになったりする。しかし、このようなコマセ作りは磯際狙いには適していない。

磯際での場合は、ゆっくりとコマセが磯際に沿って沈むことが大切だ。大型メジナが磯際でコマセの存在に気づく。すぐに沈んでしまうと容易に口にできるため、その場を離れない。ところが、ゆっくりとコマセが沈むと、メジナは早く喰いたくてイライラとし始める。他の釣りでも、その対象魚にイライラさせてバイト(エサやルアーに喰いつく)させる。このことと同じことである。

こうすることで、大型メジナは棲家から急上昇して付けエサを喰う。付けエサを口にしたメジナは反転して棲家に戻ろうとする。アタリとしては、いきなりサオ先をひったくる豪快なもの。そのためにはハリスやミチイトは太いものを使い、強烈な引き込みに耐え、巣穴に戻らせないようにする必要があるだろう。

また、ハリスにガン玉を打たず、ハリはやや太軸の重ためのものを使うことも効果的かもしれない。ガン玉を打つと、ガン玉の打った場所からハリスが沈んでしまって、根がかりしやすくなってしまう。なぜならば、付けエサから沈むという演出が必要なので、ハリにやや自重を持たせた形で磯際に沿った鉛直方向にハリスを沈めることが大きな要素になるのだ。

※釣魚考撮より移設